朝、夫が出かけて、
部屋に静けさが戻った。
その瞬間、
胸の奥がふっと緩んだ。
ほっとして、
少し息が深くなった気がした。
曇りの日のやわらかな光が、
机の上をやさしく照らしている。
外からは鳥の鳴き声。
風が少しだけ秋を連れてきて、
心地よい空気が流れている。
「今日が始まる」と思った。
時間はまだたっぷりあって、
これから何でもできるような気がした。
そして何より、
ひとりでいられる安心感があった。
誰にも気を張らずに、
自分の呼吸にだけ耳を傾けられる時間。
そんなとき、深呼吸が自然にできる。
それがたぶん、
私にとっての幸せなんだと思う。
ふつうの日々 
